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パニック障害の治療

パニック障害の原因や診断・治療法にいたるまで幅広く解説

 

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、生活に支障はでていませんか。

もしかするとパニック障害という病気かもしれません。

発作は何度も繰り返し死んでしまうのではないかと思うほどの発作なのですが、その後すぐに消失します。

検査をしても異常がみつからないことが多く、周りの人からの理解を得られないことも少なくありません。

このような発作に心当たりがある人は、適切な治療法で症状を改善することが可能かもしれません。

 

ではパニック障害はどのような病気なのか、具体的に見ていきましょう。

 

 

1. パニック障害とは

パニック障害とは、突然理由もなく訪れる恐怖や強い不安によって、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといったパニック発作を起こし、生活に支障をきたす心の病気です。

このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできなく感じます。

そのため、また発作がおきたらどうしようと心配になり、人混みやエレベーター・電車などの閉じられた空間が怖く、行くことができなくなってしまうことがあり、通常の社会生活を送れなくなる方も少なくありません。

またそういった行動制限によって、日常生活の質が低下してしまい、家に引きこもりうつ病を発症してしまう方も非常に多いです。

 

重篤な症状にも関わらず症状はすぐに消失し、検査でも異常がみられないのもパニック障害の特徴です。

何もきっかけがない時にこうした症状が起きると、人は皆、心臓や胃や肺などの体の病気を考え、内科を受診します。

もちろん体に異常があることもありますが、どんなに検査しても体に異常がまったく見つからない人はパニック障害かもしれません。

 

パニック障害は決して珍しい病気ではなく100人におよそ1人が発症、男性より女性が多いと言われています。

 

 

2. パニック障害の原因は?

パニック障害の原因は、まだ明確には解明されていませんが、遺伝子の働きやストレス、脳内の伝達物質の働きに関連があるのではないかといわれています。

① 遺伝子の働きについて

一等親血縁者にパニック障害を持つ人は、持たない人よりパニック障害の発症率が高いと報告されています。

また一等親血縁者のパニック障害が20歳未満で発症した場合は、さらに発症率が上昇します。

② ストレスについて

パニック発作は、肉親の死去、病気を発症した時など重大なストレスがのしかかった時に発生しやすいです。

また、小児期に虐待を受けた人、喫煙をしていた人も成人でのパニック障害発症率が上昇するとされています。

③ 脳内の伝達物質の働き  

人間の脳には数多くの神経細胞や神経回路が多数存在し、その間を情報が伝わることで感情、知覚、運動、自律神経などの働きが起こります。

パニック発作が起きる原因はわかっていませんが、何らかの原因でパニック発作が一度起きることで、不安を抑えるはずの神経回路に誤作動が生じさらに不安を感じるようになります。

 

 

3, パニック障害の症状は?

パニック障害は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」を三大症状とします。

 

① パニック発作

パニック発作では、突然訪れる恐怖や強い不安によって、動悸やめまい、呼吸困難などが現れます。

他に、発汗・胸痛や胸の不快感・寒気などの症状を伴うとこもあります。

 

これらの症状により、「自分が自分でなくなってしまうのではないか」「自分は死んでしまうかもしれない」といった恐怖を感じます。

症状は数分程度でピークにまで達し、1時間以内に消失してしまいます。

このパニック発作が繰り返し予期せず起きてしまうのがパニック障害の特徴です。

 

パニック発作自体はパニック障害でなくてもみられます。

例えば閉所恐怖症の人では、狭い場所に閉じこめられたりした時にはパニック発作を起こすことがあります。

この場合は、特定の環境などによって引き起こるためパニック障害とは異なります。

 

② 予期不安

パニック発作は時間と共に治まりますが、一度治まった後もしばらく時間をあけて繰り返します。

そうすると、パニック発作を起こしていないときであっても、また同じ発作が生じるのではないかという心配を伴うようになります。

また、「次はもっと激しい発作ではないか」「次こそ死んでしまうのではないか」と不安を感じ続けてしまいます。こういった心配、不安を予期不安と言います。

 

③ 広場恐怖

パニック発作は予期されない状況で突然起きてしまいます。

そこに行くと発作が起きそうな気がする、発作が起きた時そこから逃れられないのではないか、助けが得られないのではないか、恥をかくのではないか、と思う苦手な場所や状況ができてしまいます。

 

いつ生じるかわからない発作に備えて、そのような場所や状況を避けていくようになり、これを広場恐怖といいます。

広場恐怖ですが、広場だけが苦手な場所とは限りません。

苦手で避けてしまう場所は人によってそれぞれで、電車・人混み・百貨店・そもそも一人での外出を恐怖に感じてしまう人もいます。

広場恐怖が強くなると外出に支障をきたし、仕事や日常生活ができなくなります。

また、引きこもりがちになるので人間関係にも影響が出てしまいます。

引きこもりがちになり気分が落ち込み続けると、うつ症状を感じてしまう方も少なくありません。

 

広場恐怖症を伴わないパニック障害もあり、広場恐怖症のないパニック障害では100人に3人の発症率と報告するものもあります。   

 

④ その他の症状

 

その他には、「薬物依存」「自殺未遂」「生活の質の低下」などがあります。

 

パニック障害のある人は、日常の不安からアルコールや睡眠薬に頼り依存してしまう傾向にあり、自殺未遂の確率も病気を持たない人より上昇してしまいます。

日常の不安や行動制限により生活の質は著しく低下してしまい、社会性も著しく損なわれてしまうことがあります。

 

 

4. パニック障害の診断は?

パニック障害の診断は以下の4項目にあてはまるかどうかで診断します。

  • 上で述べたようなパニック発作が繰り返し生じる
  • パニック発作によって1か月以上「また発作が生じるのではないか」という持続的な不安がある。もしくは、発作に関連する行動を回避したり変更したりする
  • 発作の原因が何らかの薬物や病気によるものではない
  • 発作の原因が社交不安症や強迫症、PTSDなど、ほかの精神疾患によって説明できない

 

また、似たような疾患、鑑別が必要な疾患としては以下のようなものがあります。

 

  • PTSD:PTSDのパニック発作は、過去のつらい記憶やイベントと似たような状況に対面し記憶が呼び起こされることによって起きます。パニック障害でのパニック発作は突然理由もなく発作が起こるという点で異なります。
  • うつ病:パニック障害に最もよく合併します。
  • 心臓疾患:不整脈や狭心症という心臓の発作と鑑別が必要です。
  • 甲状腺機能亢進症:興奮・不安・落ち着きがない状態になる病気であり、パニック発作と鑑別が必要です。
  • 薬剤の副作用:糖尿病患者が低血糖発作を起こすことがありますが、パニック発作と似た部分があります。また、過剰にカフェイン・ニコチンを摂取した場合も不安やパニック発作を起こす場合があります。

 

 

5. パニック障害の治療法は?

パニック症の治療法は、主に薬を使う治療(薬物療法)と認知行動療法(精神療法)というものに分けられます。

認知行動療法のほうが薬物療法よりも効果が高いという研究結果も報告されていますが、治療可能な施設が限られているという難点があります。

薬物療法は文字通り、脳に作用する薬を用いた治療です。

それぞれ以下で詳しく説明してゆきます。

 

パニック症は、発症後悪化するにつれて、日常への生活の影響がより強くなり、また気分がどんどん落ち込んでしまいます。そのため、とにかく早くより治療を開始することが重要となります。

 

① 認知行動療法

 パニック障害では、パニック発作が起きて不安になった際に「このまま死ぬかもしれない」などの偏った思考からそれに伴う行動を制限してしまいます。

認知行動療法とは、まず病気を理解したうえでセラピストとの対話を通して自分の思考の偏りに気づき、考え方を修正していく「認知療法」と、あえて不安が高まる可能性のある状況に身を置いて少しずつ心と体を慣らしていく「行動療法(段階的曝露療法(だんかいてきばくろりょうほう))を統合したものです。

 

段階的暴露療法とは、不安なもの、苦手なものに少しずつ慣れていく方法です。今困っている症状や不安に思う場所等を明確にし、目標をたてて少しずつ触れることによって段階を踏みながら慣れていきます。たとえば、電車に乗ることが不安であれば、まず電車の近くまで行くという目標をたてます。目標を達成できたら前向きに評価し、さらに行動範囲を広くしてゆきます。

また、段階的に胸がどきどきし、息があがってしまうような行動をあえて行って、体の感覚にも慣れてゆきます。

うまくできなかった場合にも、目標をさらに小さいステップに分解して達成できそうな簡単な課題に変え、再挑戦をすることで一つ一つ慣れていくようにします。

 

このような治療はセラピストとの対話を通じながら、目標をたて不安に慣れていくという曝露療法の意味を十分に理解して、自主的に行う方法です。最終的には「自分で自分の治療者になる」ことを目標として、治療を行います。

 

② 薬物療法

 薬物療法は、パニック発作を抑え、予期不安を軽くさせるために用います。

パニック発作を抑える薬には、抗うつ薬の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とベンゾジアゼピン系抗不安薬が主に用いられています。

 

 ・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

    SSRIは抗うつ薬として開発されましたが、パニック症にも効果が示されています。SSRIには、安心ホルモンと言われているセロトニンを増やす作用があり、うつ病と同様に、不安症に効果を発揮すると考えられています。副作用として、悪心、めまい、眠気などがあるため、症状と副作用の強さを医師と相談しながら処方を調整していきます。

 

 ・ベンゾジアゼピン系抗不安薬

   抗不安薬の一種で、速やかに不安や筋肉の緊張を和らげる作用があります。そのため、パニック症の不安の症状に対して、必要時の頓服等の短期間の処方で使われます。副作用としては、眠気・ふらつき・依存性などがあり、副作用が強い場合には別の種類の抗不安薬を用いるなどで調整します。また、依存性があるため、長期間の使用は避けるようにします。

 

現在のところ、パニック障害に効果がある漢方薬や市販薬はありません。

 

6. パニック障害の治療後・再発防止に向けて

 パニック障害は、今回紹介した治療法などを行うことによって症状が落ち着いて、日常生活が送れるまで回復することも可能です。しかし、ときに再発することもあるため、再発予防のために、身に着けた認知行動療法を、気長に続けることが大事です。

また、規則正しい生活と十分な睡眠、ストレス解消を心がけ、自律神経を安定させることも予防策として有効です。パニック発作の誘発物質として、タバコ、コーヒー(カフェイン)、アルコール、薬物(覚せい剤など)もいわれており、過剰には摂取しないように心がけます。

 

パニック障害は近年、認知度が上がり、そういう病気があることを理解されることも増えつつありますが、周囲の人がこの病気の大変さを理解してあげることも重要です。家族など周囲の方は、患者さんがつらい思いをしていることを理解し、治療のサポートをしてあげることも重要です。

 

パニック障害は、死んでしまうと思うほど恐怖を感じる病気ですが、治らない病気ではありません。まず病気を理解し、焦らず相談しながら治療を続けていきましょう。

 

 

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